分かるまで検索重ねる
--文系、理系の垣根を越え、学問の総合・融合という視点で生命科学分野にアプローチされています。東大では2007年に理系総合の生命科学教科書が導入していますが、変わった点というのは総合したということですか
「そうですね。幅が広くなりました。今まではどんどん領域が狭くなって、専門課程にいけばいくほど狭く深くみたいな感じになっていた。今の日本の制度だと、そもそも高校段階で理系・文系に分かれちゃって、理系の方も、生命科学系と物理化学系では全然違う風に教えてしまっている。そうじゃなくて、知識はすべて深く関連し合っているから、浅くてもいいからちゃんと幅広く知るべきであるという風に認識が変わってきている。日本の教育制度はそれにまだ対応していない」
--社会に出て大学で学んだことを還元していくには、文系でも理系の生命科学や分子生物学を学ぶべきだということは日本でも徐々に理解されてきたようですが
「例えば、医療の現実なんてとっくに変わってきています。DNAの知識がないとほとんど分からない。だから新聞記者も、取材しても訳がわからないということになる。みんな大学ではなく社会に出てから必死で勉強しているのが現実です」
--ネット社会では、たどり着きたいものにすべてたどり着けてしまうけれども、結局、体系的に理解できていないように思うのですが
「そういうことはありますが、それが良くないかというと、そうでもない。検索して断片的な知識をすぐに得られるというのが今の知的社会の特徴。上手に使えば、それはそれでいい。ただ、どこかで一度、体系的な知識はこういうものだということ自体は学習しないといけない」