希望者全員が65歳以上まで働ける企業【拡大】
社員からすれば、50歳で転籍となり待遇も下がるという従来の厳しい制度から、50代では年収が減少する可能性があるが、65歳まで働く場合は増加するという大幅な制度転換といえる。
◆レガシーの必要性
鵜浦社長は、10年前の退職・再雇用制度について「利益を維持して継続的な投資を行うためだったが、大変つらい10年間を過ごした」と振り返った上で、「国の仕組みも変わるし、NTTの雇用構造が変わってきているから早め早めにやっていく」と、攻めの雇用への転換を表明した。
制度変更の背景には、NTTの事業形態が持ち株会社経営に移行してから13年たって大きく変容したことも大きい。電話からインターネット、移動体通信に軸足を移してきた。鵜浦社長は「われわれのサービスもレガシー(伝統的なサービス)からIP(インターネット規格)の世界に移行中」で、東西地域会社などの経営も安定化。さらに、東日本大震災時に通信設備の修復などで熟練技術者が活躍したことで「レガシーはまだしばらく必要。ベテラン層にも引き続き継続的な業務を頑張ってもらう」必要性も強く感じた。
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団塊世代退職も新卒採用にしわ寄せ懸念
今回の雇用延長制度について、労組は7月11、12日に開く全国大会で議論。本格的な労使交渉は同月下旬から始まる予定だが、「雇用契約をいったん切るという事態は早く元に戻すべきだ」(労組幹部)としており、会社側の提案を受け入れる見通し。