就航記念式典でテープカットするジェットスター・ジャパンの鈴木みゆき社長(中央)=3日午前、成田空港【拡大】
一方、全日空はエアアジアを連結対象の子会社と位置づけ、ANAブランドとの共存を目指す。「LCCとの間で客の奪い合いがあったとしても、グループ全体の売り上げが増えればいい」(全日空)との戦略だ。全日空系LCC2社の社長は、いずれも同社の出身で、操縦士の訓練を全日空の子会社に委託するなど協力関係も密接だ。
大手の戦略も左右
とはいえ、LCCが主要路線での就航を増やせば、価格破壊が大手にも及びかねない。航空経営研究所の赤井奉久(よしひさ)所長は「LCCが成田空港の需要を底上げできれば、大手は価格面で追従せざるを得ない」とみる。
このため、大手2社もLCCとの一段の差別化に乗り出す。 全日空は3日、公募増資で最大2110億円の資金調達を実施すると発表した。調達した資金はLCCに対抗するため、最新鋭機の購入などに充てる。日航は国内線ファーストクラスを8月から羽田-沖縄線にも導入する。
航空会社の事情に詳しい東洋大の島川崇准教授は「天候不順の際、LCCは運賃を払い戻すだけだが、大手は代替便を確保する」と指摘し、大手の手厚いサービスが再評価されるとの見方を示す。LCCは大手にとって「注視しなければならない」(日航の植木義晴社長)手ごわい存在となっている。(鈴木正行)