今後の原価追加削減をめぐる協議で焦点となるのが、人件費だ。今回の査定方針では、原発事故前に比べ2割減の給与・賞与水準を妥当と容認したが、消費者庁側は3割削減して値上げ幅を8%まで圧縮するよう求めている。査定方針でも「公的資金の注入企業として一層の引き下げを求める強い意見がある」と明記した。
これに対し東電の広瀬直己社長は「人件費削減などの合理化は10年間続く。過去の(国有化企業の)事例などと比べても厳しい内容だ」と指摘。東電からはすでに多くの人材が流出しており、原発事故収束に向けた人材確保への影響も懸念されるため、さらなる人件費削減には抵抗している。
東電は査定方針を基に新たな値上げ幅を再申請し、政府は関係閣僚協議を経て今月下旬にも認可を判断。東電は8月1日以降の実施を目指すが、枝野経産相はさらなる圧縮に踏み切ることもありそうだ。