6号機の中央制御室。発電量はゼロのままだ【拡大】
ほかにも原子炉建屋を守る防潮壁や、高台に設置した約2万トンの淡水をためられる貯水池など、計画している安全対策は来年度上期までで総額700億円に上る。
福島第1原発事故の賠償などで資金難にあえぐなか、東電が多額の費用をかけ安全対策を急ぐのは、柏崎刈羽の再稼働が経営再建を左右するからだ。
東電は再建計画で、来年4月以降、1号機を皮切りに順次再稼働する方針を掲げた。しかし、政府の「原発ゼロ」政策や規制委発足の遅れなどの誤算が続いたうえ、政局の混乱でエネルギー政策はさらに不透明感を増している。再稼働に向けたスケジュールは誰も描けない状況だ。
柏崎刈羽原発では東電社員以外にも地元を中心に協力企業の社員約3500人が働いており、東電は「安全確保と地元雇用の両立」(横村所長)を掲げて工事を続けている。ただ、平成25年度も全基停止が続けば、東電の赤字幅は計画より約3千億円も拡大するとみられ、資金が底をつきかねない。
「発電所は電気をつくってなんぼ。やっぱり発電がしたいんです」。再稼働のあてもないまま、安全対策だけが進行する現状に、柏崎刈羽原発の幹部はこう言って肩を落とした。(田辺裕晶)