--そもそも演歌歌手としてデビューしたそうですね
戸田 子供だったので、コブシがたくさんある演歌ではないんですけどね。私はスカウトされてデビューしたので、歌手になりたいという気持ちがものすごく強かったというわけではありませんでした。でも、すぐ売れるんだろうと思って上京しました。当時は山口百恵さんの全盛期で、私もデビューすればすぐにああいうふうなスターになれるんだと思っていました。だから、歌手になりたくてなった人には申し訳ないようなデビューですよね。
--4曲出しました
戸田 売れている人を横目で見て、私には運がないのかなと思いました。そして何年かやっているうちに、売れないことを人のせいにしたり、事務所やレコード会社のせいにしたり…。そんな自分がいやになりました。努力しようという気持ちがなくなってしまって。10代の間ずっとそんなふうでした。今にして思うと、プロとしての意識が低かったのですね。
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【プロフィル】戸田恵子
とだ・けいこ 昭和32年、愛知県生まれ。55歳。NHK名古屋放送児童劇団を経て49年にあゆ朱美の芸名で歌手デビュー。その後女優として活躍。出演作に映画「ラヂオの時間」「ステキな金縛り」ほか。アニメ「それいけ!アンパンマン」のアンパンマン役など声優としても活動している。