インタビューに答える東電の広瀬直己社長=18日、東京都千代田区の東電本店【拡大】
東京電力の広瀬直己社長は18日、フジサンケイビジネスアイのインタビューに答え、近く発足する新政権に対し、福島第1原発事故の損害賠償などへ追加支援を求めていく姿勢を明らかにした。
除染を含め費用が当初想定していた5兆円規模から倍増する可能性があるためで、原発事故への国の責任を定めた原子力損害賠償法(原賠法)の見直しなど「早期に具体的議論を始めてほしい」と要望した。
民主党政権は、国庫負担を避けながら賠償を進めるため、東電に上限5兆円の公的資金を貸し付け、利益から返済させる原子力損害賠償支援機構法(機構法)を昨夏に策定した。自民党はその際、国の責任があいまいだとして、1年後に原賠法、2年後に機構法をそれぞれ見直すとの付則を盛り込ませた経緯がある。
広瀬社長は、東電の経営状況について、「除染基準などが確定せず、必要な資金の見通しは青天井。離職者も歯止めがかからない」と述べ、公的な追加支援が不可欠と指摘した。
政権交代の影響については「支援をお願いしている相手はあくまで国」とする一方、民主党政権で棚上げされていた原賠法の見直しには「機会をもらえれば意見を述べたい」と新政権に期待を示した。