住友化学の千葉工場にあるエチレン製造設備=千葉県市原市【拡大】
同社は海外事業を強化しており、サウジアラビアで年産能力130万トン、シンガポールで同109万トンのエチレン製造設備をそれぞれ合弁で運営。国内では事業規模を縮小し高機能素材の研究開発と生産に集中する一方、海外ではエチレンなどの汎用(はんよう)品を手がけ、競争力を高める方針だ。
化学メーカーが国内にもつエチレン製造設備15基の年産能力は約720万トンだが、生産量は安価な輸入品に押されるなどして伸び悩んでいる。石油化学工業協会によると、昨年のエチレンの国内生産量は約615万トン(前年比約8%減)で、2年連続で減少した。今後も内需低迷と海外からの割安な輸入品の増加は避けられないことから、国内メーカーは生産能力の削減に乗り出した。
すでに、三菱化学は鹿島事業所(茨城県神栖市)の製造設備2基のうち1基を14年に停止する方針を打ち出している。中国や中東で大規模な製造設備の新設が相次いでいる上、シェールガス革命に沸く米国では石化産業が復活ののろしを上げている。ナフサ(粗製ガソリン)を主原料とする日本勢は、価格競争力を失ったエチレンなどの汎用品事業の整理など構造改革を迫られている。