収益改善に寄与したのは「人件費を中心とした固定費の削減」(大西徹夫専務執行役員)だ。国内のテレビや太陽電池工場の生産を縮小し、海外のテレビ工場も売却を検討中。希望退職募集などで12年12月末のグループ人員は5万1400人と同年3月末と比べ5400人減った。
パナソニックも、「利益を確保しているのは固定費圧縮など経営体質を改善しているから」(河井英明常務)と同様の事情だ。チェコやマレーシアのテレビ用パネル組立工場を精算し、リチウムイオン電池の国内生産拠点も6カ所から3カ所に減らす計画。12年12月末のグループ人員は約30万9000人と、同年3月末に比べて約2万2000人も減った。リストラなどによる固定費圧縮が12年10~12月期で670億円利益を押し上げ、円安も利益で30億円プラスに働く。
ただ、13年3月期に巨額の最終赤字に陥ることへの処方箋はみえない。両社とも堅調な白物家電や企業向けビジネスの強化を掲げるが、テレビに代わる明確な成長戦略はみえてこない。