富士重工業の吉永泰之社長(左)に春闘の要求書を手渡す同社労組の北川秀一執行委員長=13日、東京都新宿区【拡大】
円安による為替差益や北米、東南アジアでの販売増もあって業績が上向きつつある自動車各社。各労組ともこれを背景に、年間一時金(ボーナス)の大幅増を要求した。それでも為替動向や世界市場の動向など不安材料について労組側も危機感を持っており、ベースアップ(ベア)については自動車大手7社すべてが見送りを決めた。
経営側は今春闘について「業績に若干の明るさがみえているだけ」(スズキの鈴木俊宏副社長)と主張、労働側も「この為替水準では国内雇用を死守できるレベルにはない」(自動車総連)と同調し、ベアは争点としないことが決まった。
背景には、円高是正がどこまで続くかが不透明なうえ、好調な東南アジアや北米市場での価格競争の激化が予想されることがある。ホンダは労組からの要求を受け「熾烈(しれつ)化するグローバル競争、国内市場の抱える構造的な問題などを十分に踏まえ議論する」とコメントした。
国内市場に関しては、昨年9月のエコカー補助金終了で、今年の販売台数は前年比12%減と見込まれていることなどから、労働側も「今年は大きな雇用が失われかねない重要な年」(自動車総連の相原康伸会長)と指摘。トヨタ労組の鶴岡光行執行委員長も「円安のほかに好転材料はない。公平にグローバルで戦える環境はまだ整っていない」と、危機感を持っている。