【ビジネスアイコラム】
パナソニックが三洋電機を買収した際、電池事業のキーマンの一人だった雨堤氏が退社したことを知り、「なぜあいつを辞めさせたんだ」と悔しがったというエピソードが伝わっている。
研究所内を案内してもらいながら、思ったより簡素な設備に強い印象を受けた。もちろん、導入してある設備は最先端の機材が含まれる。
しかし、たとえば、クリーンルーム。部屋の中に、人の背丈ほどの高さの箱が置いてあるだけだ。「大手メーカーは、部屋ごとクリーンルームにしてしまうでしょうけど」。実際は、この規模で十分なのだという。
取材中、旧経営陣や日本の電機産業の現状、そして日本社会全体に対して、激越ともいえる批判も出た。三洋のリチウムイオン電池事業を引っ張ってきた男として、危機感は深い。