資生堂は11日、前田新造会長(66)が4月1日付で社長を兼務する人事を発表した。末川久幸社長(53)は3月31日付で社長と取締役を退任し、相談役に就く。同社は国内販売の低迷や中国事業の不振などで業績が悪化しており、前田氏の社長復帰で経営の立て直しを図る。末川氏は就任からわずか2年での退任となった。
末川氏は同日都内で開いた会見で「課題の解決に向けて打った手立てを全うしたい気持ちはあるが、持ち前の全力疾走が困難な健康状態にある」と説明。健康上の不安から「2月半ばに退任を申し出た」ことを明らかにした。同時に、現時点では後継者が育っていないことから、前田氏に再建を託した。
前田氏は会見で、最重要課題として「成長軌道を取り戻す道筋を付ける」「後継者を選出し次代に引き継ぐ」の2点を挙げた。後継者問題については「スピードをあげて実行していく」と、1年後を一つのめどとした。
前田氏は2005年6月から6年間社長を務め、乱立していたブランドを整理するなどして国内事業の収益力を強化。一方で、米化粧品会社「ベアエッセンシャル」の買収や中国の販売網構築などでグローバル化の基礎を築いた。末川氏は前田氏の参謀役として中期経営計画の策定などにかかわり、11年4月に52歳の若さで社長に抜擢(ばってき)された。