シャープの片山幹雄会長【拡大】
提携交渉など対外的な業務執行を円滑に進めるためには、本来なら代表権を付与するケースが多い。ただ事実上の引責辞任で代表権を返上した前社長に再び権利を付与することは反発が予想され、業務執行権にとどめる見通しだ。
シャープのこうした措置の背景には、同社の脆弱(ぜいじゃく)なガバナンス(企業統治)体制がある。昨年4月に奥田社長をトップとする新体制がスタートしたが、奥田社長の経営手腕が未知数である上、第一線を退いた複数の役員らが今も上意下達で間接的に経営に関与、経営陣が一枚岩になれていないのが現状だ。
鴻海との資本交渉も昨年3月の合意に至るまで、シャープ側は町田相談役(当時会長)が交渉していた。しかし新体制以降後、鴻海の郭台銘会長は「誰が本当のトップか分からない」と不満を漏らしている。
社長のほかに、提携交渉などの場に現れるのは代表権や業務執行権を持たない相談役や会長。片山会長は技術者出身でシャープの主力事業の液晶に最も明るく、社長以上の存在感を示すこともあるという。