三菱電機が公開した人工衛星の生産施設。太陽光パネルの開閉を確認する設備の設置作業が進行中だ=12日、神奈川県鎌倉市【拡大】
2社が人工衛星の生産体制強化を急ぐ背景には、アジアを中心とした新興国での通信需要の拡大がある。三菱電機の推計では、世界の商用衛星需要は年間30基の規模で継続する見通し。約百数十億円とも言われる新規案件をめぐり、米ロッキードやボーイングなど、海外の有力メーカーとの激しい受注合戦を制するためだ。
国内で約6割の市場シェアを握る三菱電機も、海外のシェアは約5%にとどまる。同社鎌倉製作所の岡村将光所長は「海外の大型衛星の需要を取り込みたい」と述べ、出力を現行の1.5~2倍に高めた大型の標準衛星の開発を検討していることを明らかにした。
これらの取り組みにより同社の衛星関連の売上高は2012年度の700億円(見込み)から、20年度に1500億円に伸びる計画だ。
こうした中、政府は1月、日本の宇宙政策の柱となる今後5年間の新宇宙基本計画を策定。官民で連携し、GPS(衛星利用測位システム)の精度を高めるための準天頂衛星のサービス展開などで、アジア諸国などに日本の科学技術を売り込む。