関西電力の高浜発電所の(右手前から)1号機(アトムくん)、2号機(ウランちゃん)、3号機(みらいくん)、4号機(あかりちゃん)=福井県高浜町(宇野貴文撮影)【拡大】
明かりをともして「みらいくん」たち
関電は大飯原発の2基と同様に津波リスクが低いとされ、新規制基準案で火災対策に必要とされる難燃性ケーブルを備えた高浜原発3、4号機で、次の再稼働を目指す。しかし、現実は決して明るいものではない。
原発の安全を審査する規制委事務局の原子力規制庁は、人材不足で審査作業に最大3チームしか割けず、審査日数も規制委の田中俊一委員長が「申請を受けてから、原発1基に半年から1年」との見方を示している。
関電は5月から家庭向けの電気料金を平均9・75%値上げする。ただし、この値上げは高浜の2基の再稼働が前提。基準不適合で、高浜原発が再稼働できず、大飯原発が9月の定期検査で停止した後に止まったままともなれば、冬の電力不足、料金の再値上げといった実態も起こりうる。
「効率的な審査をお願いしたい」と規制委への意見を述べた関電の八木誠社長。その内心は「みらいくん」と「あかりちゃん」が明かりをともしてくれることを熱望しているに違いない。(宇野貴文)