ソニーは魅力的な製品を他社に先駆けて生み出し、市場を創出してきた。自由闊達で旺盛なチャレンジ精神の持ち主が集まるソニー技術者集団の面目躍如といえる。
取材では「壊す」「次の産業を創る」といった言葉が何度も出てきた。創業者の井深大氏は真空管に代わるトランジスタに夢を託し、もう一人の創業者、盛田昭夫氏はオーディオに携帯性を持たせたウォークマンで一世を風靡(ふうび)。新たな価値を生み出すチャレンジャー、新市場を創るイノベーターが「ソニーな人」なら、次元を変える研究開発に取り組む近藤氏もまさに「ソニーな人」だ。
そのためには20年先を見通す力が求められる。近藤氏は「今の延長線上のトレンドは予測、(アナログからデジタルのような)未来が変わる潮目をみるのが推定」と指摘、推定の重要性を説く。