フル稼働する広野火力発電所6号機のタービン=22日、福島県広野町【拡大】
東京電力は22日、試運転を始めた最新鋭の石炭火力「広野火力発電所6号機」(福島県、出力60万キロワット)を公開した。東日本大震災による工事の遅れを挽回し、今夏の電力不足の緩和に貢献。他の燃料に比べ割安な石炭の利用を増やすことで、燃料費の削減にもつなげる一石二鳥の効果を狙っている。
ゴーッと低くうなるような風音が建屋内に響き、足元がびりびりと震えた。まだ試運転中ながら、広野6号機のタービンは秒速50回転でフル稼働。押谷豊所長は「これで厳しい夏を乗り切れる」と強調する。
広野6号機は、従来型より発電効率が4割程度高い超々臨界圧(USC)と呼ばれる石炭火力だ。震災で工事は5カ月の中断を余儀なくされたが、作業工程を短縮し、震災前の予定よりむしろ1カ月早い4月12日に試運転を始めた。
東電は同様にUSCの石炭火力「常陸那珂火力発電所2号機」(茨城県)も4月4日に試運転を開始しており、2基合わせて大型原発1.5基分に相当する出力160万キロワットを確保。年間で800億円程度の燃料費削減につなげる。
原発停止の長期化で代替火力の燃料費が電力各社の経営を圧迫し、大手10社の2013年3月期決算の燃料費は前期比2割増加した。新安全基準の施行が遅れて今夏も関西電力の大飯原発3、4号機以外の再稼働は見込めず、円安進行も重なって燃料費負担はさらに重くなる。
経済産業省の試算では、石炭は液化天然ガス(LNG)に比べ発電量当たりの単価が6割程度安い。国も環境影響評価(アセスメント)の基準を見直すなど石炭火力の新増設を後押ししており、「原発に代わるベース電源として石炭シフトは加速する」(電力大手幹部)とみられている。