DHLの須藤恭太氏【拡大】
ポイントを整理してみよう。
国内他社の個人向け宅配便と同等のサービスをDHLが実現するのは厳しい。人員や車両数が足りない。そこで提携先の業者への委託が選択肢としてでる。しかし1日余計にかかる。かといって個人向け取扱量は法人向けと比べると圧倒的に少なく、多大なコストがかけられない。そのうえ日本のユーザーの配達への期待値は他国と比べても群を抜いている。
ここからチェック事項は最低3つある。1つ目は多大な先行投資に見合う個人向け需要が期待できるか? 2つ目は時間指定が他国で潜在ニーズとしてあるか? 3つ目は顧客の時間への感覚差は?
検討の結果はどうだったのだろう。
「個人需要が短期間で劇的に増大する可能性は低いので投資はなしです。やはり2時間刻みの時間指定への対応は難しいです。但し、平日夜間や土曜日の配達は実行することにしました。また事前に受け取り時間の希望があれば伺うシステムも今春から導入をはじめました」と須藤さんは説明する。
指定時間は配送側にとってデメリットではなかったのだ。個人向けで大きな課題となっていた再配達コストの削減というメリットがみえた。さらに提携業者の利用や受取確認ができる宅配便受け取りボックスへの利用を促進することになった。
「市場調査をしてみたら、個人の方は受取タイミングを優先されることが分かりました。国際輸送にはそれなりに日数がかかると認識されており、法人ほどに一日を争うことはあまりないわけですね」と須藤さん。