厳しい競争を国内外で繰り広げているパソコン(PC)業界で、国内での「ものづくり」の奮闘が続いている。パナソニックは、神戸工場(神戸市)でノートPCを部品の実装から組み立てまで一貫生産。富士通やソニーなども高性能・高品質モデルを国内工場から世界に出荷する。製造業では生産拠点をアジアなどに移す空洞化が進展するが、日本ならではの技術力ときめ細かいサービスが新たな価値を生み出している。
「たゆまざる技術革新しか、メード・イン・ジャパンが生き残っていく道はない」。11日、ノートPC「レッツノート」シリーズの新モデルを発表したパナソニックの原田秀昭ITプロダクツ事業部長が力を込めた。
神戸工場は、レッツノートの出荷拠点となっている。同社が国内生産を維持する理由の一つは、最新の技術や部材を素早く取り入れ、最先端のPCを生産できることにある。生産拠点と設計・開発部門、営業部門を国内に集約することで、「顧客ニーズなどをいち早く製品に反映できる」ことが利点だ。
神戸工場では「一品一様」と呼ばれる多品種少量生産にも対応。法人向けなどにカスタマイズされたノートPCの生産は1カ月当たり数百種類に及ぶ。コールセンターや修理部門も工場に設置、「サービスと一品一様の生産体制によって価値を届ける」(原田事業部長)ことで他社との差別化を図る。法人向けカスタマイズ率は3割ほどだが、2015年度には約7割まで引き上げる予定だ。