ベトナムにある帝人の縫製工場【拡大】
生産縮小は、需要拡大が見込まれる自動車向けの供給に注力するためでもある。帝人は米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)と共同で、鉄より軽い炭素繊維複合材料を使った量産車向け部材を開発中。数年中には米国内に工場を新設しGM向けに生産を拡大する方針で、同国内の炭素繊維事業を再編する。
また、オランダのアラミド繊維生産拠点では、10%の人員削減が来年度中にほぼ終了する見通し。市場の高成長を見込み強化していたが、予測が外れたことで過剰になっていた。最も多かった22年頃に比べ約300人少なくなるという。
誤算はアラミド繊維
「まずは営業損益を黒字化しなければならない。コスト削減でスリムな体質にする」
今年度から高機能繊維・複合材料事業グループ長を務める帝人の鈴木純常務執行役員は、事業の立て直しに強い決意をにじませる。
帝人は25年3月期に通期の業績予想を4度も下方修正し、期初は「220億円の黒字」の見通しだった最終損益が「291億円の赤字」に転落した。