ソニーは20日、東京都港区のホテルで定時株主総会を開いた。株主からは、米投資ファンドのサード・ポイントによる映画・音楽事業の切り離しと一部株式の米国上場の要求に関する質問が相次いだ。来場した株主は1万693人と過去最多に上り、ソニーの経営に対する関心の高さを示した格好だ。
「映画・音楽事業は今後もソニーの成長戦略を実現していく上で大変重要だ。提案については今後、取締役会で適切に判断していく」
経営施策の説明の最後、サード・ポイントの提案に触れた平井一夫社長はこう述べ、従来の考えに変わりがないことを強調した。株主に対し実施した事前アンケートでの質問に答えた。
総会では株主から「もっと詳しく説明してほしい」「サード・ポイントが筆頭株主になった場合の対応は」と質問が相次いだが、平井社長は「短時間で結論を出すことはない」と述べるにとどまった。
平井社長自身から踏み込んだ説明がなかったことに、株主からは不満の声が漏れた。ある無職男性(68)は「(事業分割の)賛成や反対ではなく、経営に対するメリット、デメリットを具体的に話すべきだった」と、納得がいかない様子だった。
同社の2013年3月期の連結決算は、最終損益が430億円の黒字(前期は4566億円の赤字)と5期ぶりに黒字に転じた。平井社長は「ソニーの歴史の中で最も多くの大胆な改革を実行したことによる成果だ」との認識を示した上で、「攻めの姿勢に転じることが今年最大の課題だ」との決意を語った。特に、9期連続で赤字を計上したテレビ事業については「13年度黒字化は必達目標だ」と語った。