もっとも、1斤300円という高価格がやはり敬遠され、売れ残ることが多く、敷島製パンの営業担当は小売店から「ボランティアで置いているようなもの」とまで言われたという。
しかし、商品名に込めた国産小麦のことを「知ってもらいたい」(マーケティング部製品企画グループの上野恵美子チーフ)という開発陣の思いと、生産者の協力のハーモニーは実を結びつつある。生産者の賛同で、ゆめちからの作付面積は23年の100ヘクタールから24年には1千ヘクタールに拡大した。安定した生産量が確保できたことで、今年4月からは通年販売を開始。価格も220円に抑えることができた。
本格販売から約3カ月。まだ「手放しで喜べる売れ行きではないが、購入者には評判がいい」(上野チーフ)と手応えも出てきた。新たな商品展開も視野にあるという国産小麦パンを広める挑戦は、確かな一歩を踏み出した。(滝川麻衣子)
ゆめちから パン作りに欠かせない強力粉の原料となる「強力小麦」の新品種で、北海道農業研究センターが開発した。病害への優れた抵抗性と、タンパク質の含有量が多いのが特徴。現在、パン用小麦の国内需要の約97%は輸入に頼っている。中でも強力小麦は、高温多湿で病害が発生しやすい日本ではつくるのが難しく、国産品は珍しい。