ただ、自動車を中心に製造業の海外シフトは止まらない。日本政策投資銀行の調査によると、大企業製造業の設備投資は2012年度に続いて13年度も国内外ともに伸びる計画となっているものの、前年度比13.7%増の海外投資に対して国内投資は11.2%増とやや下回る。また、目的別の構成比は13年度計画で「維持・補修」(25.6%)が「能力増強」(23.6%)を初めて上回り、「合理化・省力化」の割合も上昇した。
このため、同行の穴山真・産業調査部長は「国内の設備投資が今後、本格的に改善するかは予断を許さない」と分析する。
為替相場の円安傾向で誘発された企業の設備投資が、景気を好循環に導く牽引(けんいん)役になるには力不足と見る向きは強い。「規制緩和や法人税減税などで企業の競争力を高め、新産業を興しやすい環境づくりも不可欠」(宮前氏)と、政策面での後押しを求める声は少なくない。