成功の確率高い
一方で、日本市場向けオランジーナをヒットさせ、サントリー食品の欧州売上高を年間2桁増に乗せるという実績を上げ、「確立したブランドの買収はメリットも大きい」(藤原アナリスト)ことを証明した。
キリンやアサヒが新興国で買収した企業の育成に時間と経費をかけ、大きな労力を要していることに比べ、すでに確立された強力ブランドを買収する手法は「ブランドを育てる苦労が小さく、強力なブランドだからこそ世界に拡販できる強さもある。むしろデメリットはほとんどない」(同)とされる。強力なブランドを買うというサントリー食品の戦略は、買収金額こそかさむものの、結果的にリスクが少なく、成功の確率が高いというわけだ。
ただ、世界市場でネスレやコカ・コーラなど欧米の食品・飲料大手が積極的に拡大戦略を展開するなか、新興国での条件のよいM&A案件は減少し、買収価格も高止まりしている。経営規模で海外大手に大きな差をつけられている日本勢は、新興国開拓で劣勢に立たされ、苦戦を強いられているのが実情だ。
ますます競争が厳しくなる国際市場。欧州の強力ブランドを武器に新興国市場を切り開けるかどうかは、今回の買収の成否にかかっている。(西村利也)