被災地復興や都市部の再開発で重要が膨らみ、鉄鋼、セメントなどの建設資材の値上げが相次いでいる。7年後の東京五輪の開催決定が追い風となり、建設資材の需要が底堅いのも一因となっている。
ビルの骨組みなどに使われるH形鋼など鋼材について、東京製鉄は10月販売分からH形鋼など12品種の価格を1トンあたり2000円引き上げ、「ベースサイズ」と呼ばれるH形鋼の単価を7万6000円とした。値上げは3月分以来、7カ月ぶり。
新日鉄住金も10月生産分を3000円値上げした。昨年10月の経営統合後、5度目の値上げとなるが、需給に見合う価格設定を推し進めている。
一方、セメントメーカー各社は今月出荷分から1トンあたり約1000円の値上げを打ち出した。住友大阪セメントは「交渉には難しさがつきまとうのが常だが、値上げは浸透しつつある」と説明する。太平洋セメントは一昨年から打ち出した1000円程度の値上げが、生コン会社などの需要側との交渉で浸透しきっていないため、未達分について、粘り強く交渉を続けている。
セメント協会では、現在の逼迫(ひっぱく)した需給状況が「値上げをお願いしやすい環境にある」と解説している。
今後、東北地方や首都圏での建設作業員不足が解消し、建設ラッシュに弾みがつけば、さらに資材需要が膨らむとみられ、値上げ基調は当面、続きそうだ。