それを支えるのはカイゼンを生み出す「人材」であり、高岡工場のブラックボックス・ラインのように人材育成には経営資源を惜しみなく投入する。7月にドイツで開催された技能五輪国際大会にはトヨタから8人が出場し、2人が金メダルに輝いた。これはモノづくりの高い技能を国内外に示すとともに、人材育成が実を結んでいる証しでもある。
◆人は機械の上を行く
トヨタには生産技術のエキスパート(専門家)に冠される「技監」という職制がある。その1人、河合満(みつる)は「自動化がいくら進んでも、人にしかできない部分は必ず残る。人が(モノづくりの)方法を編み出し、それを機械でできるようにする」と話す。技能(人)はいつも技術(機械)の上をいくというわけだ。
入社以来50年、製造畑一筋の河合は、国内生産300万台の維持について「手作業で編み出した技能をラインに移すためには、一定の量で作ることが求められる。それが300万台。これがなくなったら日本の技能はなくなる」と説明する。いわば国内300万台は生命線だ。
その河合がいう。「カイゼンは無限。ベストでなく、いつもベターを追求する。ベストになるとそこで止まってしまう」。終わりのないカイゼンの追求こそがトヨタのクルマづくりを支えている。=敬称略