車体に搭載したカメラやセンサーからの情報を駆使して、ドライバーへの注意喚起や車の自動制御を行うといった機能は、もはや当たり前になりつつある。国内自動車各社は、一歩先を行く安全技術で世界をリードしようと躍起だ。
◆開発現場に葛藤も
こうした取り組みの集大成ともいえる姿が、トヨタ、日産自動車、ホンダが開発にしのぎを削る自動運転車ともいえる。
すべての起こりうる危険を自動回避する「夢の車」。居眠り、飲酒運転などによる事故の根絶も期待される。運転次第で走る凶器にもなり得る車が、最も安全な乗り物に変貌を遂げる可能性も秘めるうえ、身体能力が低下する高齢者の運転も容易にするなどメリットは計り知れない。
加えて、自動運転車の開発技術の蓄積は、自動車各社の技術力を飛躍的に向上させるとともに、日本全体のものづくり力の維持にもつながる。東京モーターショーに先立つ今月9日、国内の一般道では初めてとなる本格的な自動運転車の走行実験を安倍晋三首相が自ら乗り込んで行ったのも、このためだ。
ただ、各社の首脳の頭を悩ますのは「運転することの楽しさを競ってきた自動車メーカーにとって、自動運転車の機能は機械任せ。単なる移動手段に成り下がってしまう」(大手自動車)という点だ。
究極の便利さを追求するあまり、自動車の楽しさを奪ってしまうことになれば元も子もない。ホンダの研究開発を担う本田技術研究所の山本芳春社長は「本当に社会から望まれるシステムなのか、法規やユーザー意識を含めて勉強しなければいけない」と開発現場での葛藤をにじませる。