新日鉄住金と住友商事は19日、自動車のエンジンに用いる鍛造クランクシャフトの米国生産拠点を増強すると発表した。約4600万ドル(約47億円)を投じて、生産能力を現在の年間270万本から400万本に高める。米国での旺盛な自動車需要を追い風に、フル操業が続いており、今後も予想される需要拡大に増産で対応する。
米国で鍛造クランクシャフトを製造・販売する共同出資会社「インターナショナル・クランクシャフト」に、新たに第4生産ラインを増設。2015年11月に稼働、17年のフル操業を予定している。
米国では現在、自動車用クランクシャフトの製造は鋳造と鍛造の割合がほぼ拮抗(きっこう)している。しかし、溶かした金属を型に入れて成形する鋳造に比べ、金属に圧力をかけ型に押し込み成形する鍛造の方が軽くて強度が高いため「自動車の軽量化や低燃費化につながる。今後は鍛造の需要が高まるとみられる」(新日鉄住金交通産機営業部の鶴原誠部長)と判断、今回の設備増強を決めた。
新日鉄は現在、日本、米国、中国、インドの4拠点で年間計1100万本の鍛造クランクシャフトを生産。世界シェアは約10%で、米国では約40%のトップシェアを持つ。北米の自動車販売は今後5年間で約7%成長すると予想されており、今回の増産を機にシェア拡大を図る。