1990年に制定されたが、自動車業界からの圧力などで一時はなし崩し的に緩和されていた。だが、これが強化される方向にある。販売割合が引き上げられるだけでなく、対象メーカーも増える。現在は販売台数から日米の大手6社が対象だが、17年以降はマツダやフォルクスワーゲン、現代なども対象になる。同様の規制は他の州にも広がり始めている。
優遇策からリーフに限らず、米EVベンチャーのテスラ・モーターズが12年夏に売り出した高級EV「タイプS」も、販売好調。だが、タイプSは累計販売が2万台に満たなかった13年秋に、3件の火災事故を北米で相次ぎ起こした。これに対し、10万台に手が届くリーフ、さらに三菱自動車のEV「i-MiEV」を含めた日本製EVの火災事故はこれまでゼロだ。
カリフォルニアは地球温暖化の進行から砂漠化する危機にひんしている。また、盆地の北京は慢性的な大気汚染に悩まされている。ZEVを必要とする都市や地域は地球上に数多い。
10万台を販売数量としてとらえるなら、150万台への一里塚にすぎない。だが、安全を前提とする日本型ものづくりととらえるなら、EVという新しい技術におけるメルクマールである。世界的に環境規制が厳しさを増すなか、日産は経営トップが数量の大風呂敷を広げるだけではなく、EVが目指す方向性や将来の役割をもっと明確に示す段階に来ているといえよう。(経済ジャーナリスト 永井隆)