この流れを受け、昨年12月にヤマト運輸は歴史的な方向転換に踏み切った。小倉氏以来の方針を取り下げ、外形基準による信書定義導入へと主張を切り替えたのだ。同社は米国や英国、ドイツなどの例を挙げ、何が信書に当たるのかを、サイズや料金などで定めることを提案した。
大転換の背景には、主要事業の一つであるメール便の成長鈍化がある。1997年に全国展開を開始したメール便は、書類などを郵便より安く送れる手段として定着している。
しかし、メール便で信書を運んだとして、告発される事例が頻発。このリスクを避けるため、ヤマト運輸では2011年9月以降は顧客に荷物の内容が信書に当たらないことを確認したうえサインを求めている。
こうした手続き厳格化が響き、ヤマト運輸のメール便は11年度以降マイナス傾向を続けている。今年度も12月までの累計で対前年比1.1%減少だ。日本郵便が展開するメール便サービスの「ゆうメール」はそういった手続きをしておらず、この間に着々とシェアを上げている。この不公平な競争条件を変えないことには、メール便の将来は開けない。小倉氏以来の主張を撤回することにOBからの反発もあるなかでの、苦渋の決断だ。