■自由に参加できる「緩やかな連合体」必要
--セブン&アイ・ホールディングスが相次いでM&A(企業の合併・買収)に動いた
「昨年秋に鈴木敏文会長がオムニチャネルで成長の第二軌道に入ると明言し、オムニチャネルの前提となる品ぞろえや業態ぞろえの強化、ブランドや商品力の強化に動き始めた。昨年来の株高で株式の流動性がついてきたことも、M&Aには追い風になった」
--4件のM&Aのうち3件は持ち分法適用会社だ
「持ち分法適用会社が増えると経営戦略が複雑化し、単なる経営多角化に終わる危険性もある。これまでも大手流通が専門店を子会社化してきたが、失敗した例は少なくない。例えば不振のスーパーでも、親会社に頼まれると入店せざるを得ないといったことがあり、経営の最適化につながらなかった。安易に子会社化するのではなく、セブンと協業したいというメーカーが自由に参加できる緩やかな連合体を形成する必要がある」
--緩やかな連合体とは
「成功しているのはセブン-イレブン・ジャパンだ。総菜開発といった協力メーカーは資本関係がなくても、セブンと一体化した経営をしている。他の企業よりも商品が売れて、十分なフィードバックがあればそういった企業が集まってくることは当然だ。そのために、企業のブランド価値を高めなくてはいけない」
--オムニチャネルをめぐるM&Aは今後も続くか
「すでにネット通販の専門会社を買収したり、専門家を招き入れるなど各社が戦略に動き出している。買収や提携、情報交換をはじめ取り組みに濃淡はあるが、オムニチャネル化を進めるための外部資源の獲得が加速するだろう」