■海賊版、人材育成…疲弊する現場
日本のアニメには、海外での人気が適正な対価に結びつかないことや人材育成の遅れなど多くの課題がある。富野監督も「数年先、東京でのアニメ制作は大変厳しい。おそらくはアニメを作る現場が疲れ始めているのではないかと感じている」と話し、制作現場の苦境に触れた。
日本動画協会によると、日本のアニメ制作会社の海外売上高は年間144億円(平成24年)程度で、直近のピークだった17年の313億円からほぼ半減した。売り上げの減少は海賊版や違法配信の影響によるとみられ、「海賊版対策は国も始めており、アニメ事業者も、正規の配信サイトを利用してもらう取り組みを進めている」(同協会)。人材育成でも公的支援が始まっている。文化庁は22年度から、スタッフに若手を起用したオリジナルアニメを制作する団体を年に4社選び、制作費や講習会の費用を支援している。
近年、若手が修練を積む場でもある動画制作が海外発注されることが増えたため、熟練アニメーターの高齢化や技術格差が大きくなっている。支援事業では、若手への指導や講習、育成ノウハウの確立に主眼が置かれる。同庁では「参加した人の離職率は低く、一定の成果は出ている」として、26年度以降も継続する予定という。