常識破りの“脱・石油タイヤ” 住友ゴム「エナセーブ100」開発物語 (3/5ページ)

2014.3.23 07:02

住友ゴム工業本社で展示されている世界初の石油を使わないタイヤ「エナセーブ100」(手前)=神戸市中央区

住友ゴム工業本社で展示されている世界初の石油を使わないタイヤ「エナセーブ100」(手前)=神戸市中央区【拡大】

  • 東京モーターショーで国産第1号タイヤ(左)の生産から100年の節目に開発した、世界初の石油を使わないタイヤ「エナセーブ100」(右)を発表する住友ゴム工業の池田育嗣社長=平成25年11月、東京都江東区(同社提供)
  • 「エナセーブ100」の開発にたずさわった(左から)和田孝雄・材料企画部課長、服部高幸・材料企画部主査、向井政幸・第5技術部課長代理、廣真誉・材料第1部課長代理=神戸市中央区の住友ゴム工業本社

 解決策となったのは天然ゴムの性質を変える「改質」技術だ。「ENR(エボリューショナル・ナチュラル・ラバー)」と名付けた独自技術を開発し、燃費に関連するタイヤの転がり抵抗を天然ゴム並みに抑えつつ、雨の路面上では合成ゴム並みのブレーキ性能を発揮する改質を実現。非石油系で「低燃費性と安全性を両立させた素材ができあがった」(和田課長)。

 18年からタイヤ設計でプロジェクトにかかわってきた向井友幸第5技術部課長代理は「合成ゴムと天然ゴムでは車の乗り心地も違う。天然ゴムの良さを生かしながら、合成ゴムの性能に遜色ないものを出すのに苦労した」と明かす。

 ここまでは技術で何とか97%の「脱・石油」を実現できたが、残り3%の素材変更が最大の難関だった。当時は必要な素材について大量生産技術が確立されていなかったため、壁にぶち当たっていた。「できるかどうか不安だった」(和田課長)が、この局面を打開するには新素材を開発するしかなかった。

「素材の配合を変え、自分たちが狙ったタイヤの性能に向けて改良を重ねる」

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