解決策となったのは天然ゴムの性質を変える「改質」技術だ。「ENR(エボリューショナル・ナチュラル・ラバー)」と名付けた独自技術を開発し、燃費に関連するタイヤの転がり抵抗を天然ゴム並みに抑えつつ、雨の路面上では合成ゴム並みのブレーキ性能を発揮する改質を実現。非石油系で「低燃費性と安全性を両立させた素材ができあがった」(和田課長)。
18年からタイヤ設計でプロジェクトにかかわってきた向井友幸第5技術部課長代理は「合成ゴムと天然ゴムでは車の乗り心地も違う。天然ゴムの良さを生かしながら、合成ゴムの性能に遜色ないものを出すのに苦労した」と明かす。
ここまでは技術で何とか97%の「脱・石油」を実現できたが、残り3%の素材変更が最大の難関だった。当時は必要な素材について大量生産技術が確立されていなかったため、壁にぶち当たっていた。「できるかどうか不安だった」(和田課長)が、この局面を打開するには新素材を開発するしかなかった。