東日本大震災直後の4月上旬に仙台市の被害状況を視察する小林健社長(左)【拡大】
《財団の基金において、被災地で復興を目指す企業や事業者を対象に投資する手法にこだわった狙いは》
「何回か東北に行き、回数を重ねるごとに現地のいろんな声を聞く。ボランティアがそういう声を拾ってくることもある。被災地の人たちは目標がなくなってしまうので、やはり働きたいと。同じお金をもらうのであれば、働いた対価としてもらい、それで暮らしていきたいという声が非常に多かった。これをどう支援するか」
「やみくもにお金をばらまくのではなく、投資の形で財団で回していこうと決めた。(陸前高田市のキャピタルホテル1000の復興や、醤油(しょうゆ)メーカー、農業生産法人の再建など)雇用創出につながる企業に投資することで復興を支援し、経営が軌道に乗り、配当がでればそれを原資に次の支援に再投資する仕組みだ。これがずっと続いていて、できればもう少し財団の支援の幅を広げていきたい」
《震災による原発事故で液化天然ガス(LNG)などのエネルギー輸入が急増し、商社のエネルギー安定調達の役割の重要性も再認識された》
「日本は資源がない国だから、資源の安定供給が第一。いかに調達先のポートフォリオを分散させて安定的に資源を調達するかだ。震災発生当時は原発が止まり、(LNGの緊急調達などで)利益を追求しないことも含め陣頭指揮をとり、それなりに貢献できたと思う。一方でこのことは、まったくの福祉ではないとも思っている。苦境にある顧客を支援したことで、東京電力との関係も深まった。新会社になってもいろいろな形でお役に立てると思う」
「安定してエネルギーを供給することが一番大事。最適なエネルギーミックスを早期に確立してもらいたい」(上原すみ子)