■免疫療法の樹状細胞ワクチン がん治療に貢献
--患者の細胞を基に作る免疫療法の樹状細胞ワクチン「バクセル」を開発し、症例の実績を重ねている
「バクセルは既に医療技術として確立しており、契約医療機関を通じ、がん患者に自由診療という形で治療を提供してきた。これまでの症例は約7600にのぼり、薬事承認を得るための土台がある。樹状細胞ワクチン療法は膵(すい)がんでの症例が特に多く、既に提携医療機関で1000以上の症例を持つ。膵がんの年間罹患(りかん)数は3万5000人にのぼり、薬事承認を得れば、多くの患者に貢献できると考えている」
--今秋に施行される再生医療関連法は追い風だ
「今まで細胞治療は医薬品でも医療機器でもなく、法的な位置づけがなかった。また、医薬品や医療機器という範疇(はんちゅう)で認められるには時間がかかるといった問題があり、これまでは薬事承認を得ることが難しかった。今回の薬事法改正で『再生医療等製品』という新しい枠組みができ、薬事承認を目指す道筋がやっとできた」
--2020年に150億円の売上高を目指している
「バクセルが再生医療等製品として市場に投入され、売り上げが立つとみている。バクセルの治験(臨床試験)に向けた準備も順調に進んでいる。治験を行えば承認を得られる自信がある」
--がん細胞に対して高い殺傷能力を持つという「ZNK細胞」の実用化にも取り組んでいる
「がんに対する細胞傷害活性を最大限に高めた細胞で、樹状細胞ワクチンとは相互補完の関係にある。例えば、樹状細胞ワクチンが効きにくいがんに対し、ZNK細胞を使った治療も考えられる。この2つの治療法で大半のがんをカバーできると思う。長崎大学病院で臨床研究を始めたばかりで、安全性に関する評価次第だが、樹状細胞ワクチンの次はZNK細胞の薬事承認を得たい」