【視点】編集委員・松岡健夫 開放特許で中小企業を元気に (2/2ページ)

2014.5.13 05:00

 精密板金業を営むスタックス(川崎市中原区)は、富士通の特許を活用し電子機器の免震台足「スウェイフット」を製品化した。星野妃世子社長は「(創業者である)父の時代から、下請けから脱して自社ブランドを作りたいと考えてきた。これが実現した」と、開放特許が親子2代の夢をかなえたと話した。その上で「下請けは親のいうとおり(の納期、価格、品質)にする。価格決定権はなくコストダウン要求に応えなければいけない。しかし、自社ブランドをもつと交渉できる力があることを知り、利益も違ってきた」と自社ブランドをもつ有効性を説いた。

 「中小企業が元気になる」と指摘したのがシステム開発のアルファメディア(同)の小湊宏之社長。同社も富士通の開放特許を使って従来製品の高付加価値化を図り、売り上げを伸ばした。「知財を生かすことで他社と差別化できる。売れたことで社員のモチベーションも上がった」と話した。

 脱下請けに挑む中小企業だが、ヒト、モノ、カネの経営資源に限りがあり、自社ブランドを一から立ち上げるのは難しい。だからこそ大企業の開放特許を活用しない手はない。10万件の特許をもつ富士通は「中小企業からニーズを求められると10万件の中から張り切って探す」(担当者)と特許の有効活用に理解を示す。

 知財交流の場に参加すれば、これまで無縁だった特許も身近になり、製品開発のタネさがしに効果的だ。アイデアの宝庫から自社ブランドづくりに最適な知財を見つけて契約すれば、速やかに、かつ安価に必要な技術を入手できる。開発した独自製品は特許で守られているので競合との差別化が図れ、独占的にビジネスを展開できる。自社ブランドを製品化できるメリットは決して小さくない。

                   ■

 日本経済の活性化には、成長意欲に富む若い企業、ベンチャー精神あふれる中小企業を育て、経済・産業の新陳代謝を促す必要がある。自社ブランドを構築できれば企業価値は高まる。社員のモチベーションも上がる。

 ある地方銀行トップは「地方栄えずして国栄えず」と持論を展開し、地元経済を活性化させるため、中小企業支援に力を入れた。この言葉は「地方」を「中小企業」に言い換えることもできる。精密で高品質、安全・安心なニッポンブランドを支えてきたのは、どんな要求にも応えてきた中小企業の卓越した「技」だ。大企業の「知」が加われば、独自製品を世界にアピールできるはずだ。開放特許の活用が進めば、間違いなく日本のモノづくりは元気になる。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

実践で使える英会話を習得!業界最高峰の講師がサポートします。毎日話せて月5000円《まずは無料体験へ》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

サンスポ予想王TV

競馬などギャンブルの予想情報を一手にまとめたサイト。充実のレース情報で、勝利馬券をゲットしましょう!