りそなは銀行再編の「台風の目」!? 公的資金完済へ 高まる経営自由度 (2/2ページ)

2014.8.31 17:30

 1998年のトラベラーズとの大型統合を果たしたシティが、リーマン・ショック後に低迷しているのとは対照的に、ひたむきにリテール(個人向け業務)の強みを磨いてきたウェルズ・ファーゴの株価は、金融危機前から倍増の勢いだ。

 りそなは「個人と中小企業に重きを置く」(東社長)方針のもと約600店を展開。休日営業拠点の開設をはじめとする取り組みは、スーパーの店頭に窓口を置くなどのリテールに力を入れてきたウェルズ・ファーゴの姿とも重なる。

 3兆円を超えていたりそなHDが返済すべき公的資金は、現時点で1280億円を残すのみ。平成30年3月期までに返済する計画だが、「計画を前倒しする体力がある」(アナリスト)とされている。

 今後は利益の使い道として、これまで優先させてきた公的資金返済から「投資にシフトしていく」(東社長)構えだ。ただ、投資は店舗強化といったリテールに重点を置く方向で、当面は積極的なM&Aに距離を置くとみられる。それでも金融界では「りそなが再編の“台風の目”になる」との声が絶えない。

 「大手行では、信託機能を取り込みたい三井住友銀行や、資産運用で手を組む三井住友信託銀行が、りそなに秋波を送っている」(大手行幹部)とされる。

 その三井住友信託銀を傘下に持つ三井住友トラスト・ホールディングスが27日、横浜銀行との業務提携を検討すると発表。「再編へ先手を打った」(地銀幹部)と業界に衝撃が走った。再編のマグマはいつ噴き出してもおかしくない。(塩原永久)

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