サントリーホールディングスは2日、ビールの醸造に使用されるホップのゲノム(全遺伝情報)解読に世界で初めて成功したと発表した。ホップの品種改良のスピードを上げることができ、新しい味や香りのビールづくりに役立つとみられている。
解読作業は、子会社のサントリーグローバルイノベーションセンターと公益財団法人の岩手生物工学研究センター(岩手県北上市)などが中心になって進めた。
まず国内で栽培されているホップの「信州早生」のゲノムを解読。25億塩基対の約8割に相当する21億塩基対の解読に成功した。さらにヨーロッパ栽培品種の「ザーツ」と野生ホップのゲノムを解析したところ、異なる遺伝子配列が約1000万カ所見つかり、これが、香味や栽培特性の差になっているとみられるという。
今後、遺伝子の機能を解析することで、交配の品種改良の精度が高まる。例えば苦みに特徴がある信州早生と、華やかな香りのザーツを組み合わせたホップを作ることで、ビールの味や香りを良くすることができるという。
サントリーは、2002年にビール酵母のゲノム解読にも成功している。