【ビジネスアイコラム】ゴーン流経営の光と影 (2/2ページ)

2014.9.5 05:00

 ルノー再建を支援しつつ、日産の高い経営目標を実現することは容易ではなく、ゴーン氏のカリスマ的な経営力が強く求められていることは否定しがたい。そのためには、43億ユーロ(約5930億円)と試算する16年度のアライアンス・シナジーを是が非でも生み出さなければならないのだ。

 ゴーン氏は人心の刷新と組織変更を打ち出した。日産経営の地域軸を3分割から6分割へ細分化し、COO職を廃止し、その機能を3分割して経営管理の責任細分化を進めた。研究・開発、生産技術・物流、購買、人事の4機能をルノーと日産で統合し、意思決定を1つのラインにまとめた。会社組織は独立した別会社でありながらも、あたかも一つの会社として運営する。

 この組織改正には日産ルノー連合のシナジー(相乗効果)をもう一度引き出すという強い意思が込められている。

 一方、達成に向けたゴーン氏のトップダウン経営は強まり、CEOとしての任期も長期化が避けられない。

 ゴーン氏のトップダウン経営が求められるほど、優秀な内部経営陣の流出につながる事態は皮肉な展開だ。構造的に後継者は育成されにくく、“ポスト・ゴーン”体制の経営への不安は増すばかりだ。トップダウン経営を貫くゴーン経営の光と影がそこに見える。

 グローバルに広く優秀な人材を追求するゴーン流人材登用術が、内部人材流出の影を補い永続的な経営力を保てるのか、目先の業績以上に真価が問われている。(自動車アナリスト 中西孝樹)

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