ただ、円安は輸入品の円建て価格を押し上げる効果もあり、「食品やガソリンなど生活必需品の値上がりにつながれば、消費に悪影響を与える可能性」(大和証券の守田誠シニアストラテジスト)もある。好調な旅行需要の追い風を受ける航空会社では、円安は燃油費の増加につながる。
国際協力銀行の渡辺博史総裁は3日、報道陣との懇談で「105円を超えるとマイナス影響となる産業の方が増える」と指摘。最終製品を組み立てる工場の海外移転が進んだ一方、「国内では部品調達のための輸入が増えている」(渡辺氏)ことから、円安の“負の側面”が大きくなるとみる。
大手電機メーカーは為替予約などで為替変動への備えを済ませているが、「輸入品の価格や外貨建ての経費は円安によってマイナス要因になる」(キヤノン)と警戒する声もあった。