今年6月に新創刊した米有力経済誌『フォーブス』の日本版、『フォーブス ジャパン』。国内の出版市場は人口減少や活字離れの進展で厳しさを増しているが、そこにあえて正統派の“経済誌”で真正面から挑んでいる。同誌を発行するアトミックスメディアの最高経営責任者(CEO)で編集長でもある高野真氏に、このほど第3号を配本した現在の状況や今後の展望などを聞いた。
--『フォーブス ジャパン』の滑り出しをどうみるか
「ビジネスという面では、目下基礎を固めているところだが、メディアの方向性という点では自信を深めている」
「誌面は“グローバルな視点”“先をみたテーマ”“ポジティブな思考”“重厚な記事”をコンセプトにしている。記事も、マクロ経済や企業経営そのものではなく、リーダーをはじめとする人物にフォーカスし、ストーリーで展開している。表紙の質感や色使い、手に取った際の感触などにもこだわった。幸いにして、反響もよい。今後もこの方向性を堅持する」
--今後の展開は
「はじめの1年間で、ブランドを確立したい。そのブランドのもとで、3年内に収益基盤も確立する考えだ。そのためにも、定期購読する顧客を増やしていきたい。はじめから売れるにこしたことはないが、売るためだけの誌面づくりはしない。読者の視点を理解しつつ、目線の高い、有益なコンテンツの発信に努める」
--活字メディア以外の展開をどう考えるか
「ブランドを生かしながら、順次ウェブやイベントなども展開する。ブランドの確立は、メディアの広告価値を高めるとともに、ウェブ上では課金モデルによるコンテンツ発信も可能にするかもしれない」
「われわれの場合、ブランドはコンテンツによって築かれる。ブランドが質の高いコンテンツの証しとなれば、できることが一段と増えるだろう。幸いにして、私は編集長だが社のCEOでもある。ブレのない中長期的な戦略を遂行しやすい環境にあるといえる」