こうした実地での経験に加えて高度な耳の“能力”が組み合わさって独自の技術に発展していった。
また、東京都大田区の創業支援施設を拠点として起業したことも商品化に大きく寄与した。周囲には製造業に携わるメンバーが多く、アイデアがわき次第、その都度頼むことができたからだ。現在も連携を進めながらモノづくりを行っている。
◆異音で動作不良確認
現在、力を入れているのがBtoB(企業間取引)ビジネスだ。その一つが、音によって動作不良を確認する異音検査用の機器。部品の製造工程などできしみ音などが発生した場合、音を拾うことにより異常を知らせる役割を果たす。
一般的な機器の場合、工場の騒音の中に同じ周波が混ざっていると異常音を感知することはできない。これに対してハッピーリスの機器は厳格に峻別(しゅんべつ)し、どんな環境下でも異音を拾う。電機や自動車、プラントメーカーなどへ納入しており、受注が殺到してさばききれないことから、開発要員を新規採用し対応する計画だ。
こうした実績を踏まえ、日本政策投資銀行が女性起業家を対象として今年6月に表彰式を行った「第3回 DBJ女性新ビジネスプランコンペティション」に応募し、9人のファイナリストに残った。受賞は逃したが「いろいろなところから、メンタリングを受ける機会が大幅に増えた」そうだ。
今後は独自の集音技術を武器に事業領域の多角化を図る。例えば家畜の健康管理。呼吸音が異常をきたすと飼い主の携帯に警告音が転送され、「風邪をひいているかどうか」などを迅速に判断できるシステムだ。また、会社を大きく発展させるため通信会社などとの連携や、海外展開も視野に入れている。(伊藤俊祐)
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