カジノを中心とした統合リゾート施設の経済効果に期待する声は多い=米ネバダ州ラスベガス【拡大】
ただ、ギャンブル依存症対策や、マネーロンダリング(資金洗浄)への対策のほか、治安上の重要課題も残るため、具体策を実施法にどう盛り込むかが今後の焦点となる。
政府がIR実現にこだわるのは、幅広い経済効果が見込めるためだ。カジノは訪日外国人観光客を30年に3千万人とする政府目標の達成に有効なだけでなく、建設業や運輸、ホテル、サービス業など恩恵を受ける産業の裾野も広く、雇用拡大効果も大きい。
1カ所当たり5千億~1兆円とされる“IR特需”を狙った内外企業の動きも活発だ。有力候補地では自治体首長への訪問やコンソーシアム設立に向けた交渉が繰り広げられている。
ただ、国際カジノ研究所の木曽崇所長は「膨大な制度設計に1年は短く、追加法が必要になる恐れもある。ゼネコンは資材も人材も東京五輪に向けて不足気味で、突貫工事も厳しくなる」と指摘。その上で「IRによる経済効果が必要になるのは五輪よりその後だ」と述べるなど、20年のIR開業に懸念を示す声も少なくない。
政府は内閣官房を中心に推進体制を強化し、実現を急ぐ構えだ。