例えば1985年、プロ野球は阪神タイガース、夏の甲子園(第67回全国高等学校野球選手権大会)ではPL学園、都市対抗野球大会では日本生命と、いずれも“大阪のチーム”が優勝した。その経済効果については、全国で1000億円規模との説も飛び出すほどの盛り上がりで、とりわけ大阪では歴史に残る活況となった。“立役者”の一つである日本生命でも、当時の社内のムードは格別だったという。職員の結束が強まり、士気も向上。地元である大阪の活性化にも貢献した。
◆盤石な本業が前提
とはいえ、企業スポーツを運営することは簡単なことではないようだ。筒井社長も、日本生命が企業スポーツをこれまで続けてこられた理由の一つとして「本業がしっかりしていた」ことを挙げる。「野球部と卓球部を整然と運営していくためにも、本業が大事」(同)ということだ。盤石な本業の上で、スポーツを通じて社会に貢献する。こうした取り組みにより、企業の職員には誇りや自覚が芽生え、やりがいにもつながることだろう。
日本生命は今年が125周年。こうした良循環が長きにわたり発展を続けてきたゆえんの一つかもしれない。同社は、両部の活躍を願い、そのための地道な環境整備を続けていく。そんな企業の意思に両部も呼応する。全国に広がる日本生命の支社が、地域の住民に向けて開催するスポーツ教室への協力を続けてきた。
野球部、卓球部がそれぞれ例年10カ所程度参加するスポーツ教室は、日本のトップ選手と交流できることもあり、地元の子供たちから大人気だという。これらの取り組みは、次代を担う選手の養成や、それぞれのスポーツの裾野拡大という点からも期待されている。
従業員の帰属意識や一体感、地域への貢献、日本のスポーツ振興…。さまざまな社会的要請に応える日本生命の一例は、企業スポーツ運営の手本として参考にすべき点が多い。(青山博美)