【ハザードマップ】仁多産業 海外事業展開失敗で収益悪化 (2/2ページ)

2014.10.30 05:00

 13年7月期の売上高は約5億8400万円にとどまり、約4400万円の最終赤字を計上して、3億円超の債務超過に陥った。このため14年5月に希望退職を募って社員を25人削減した。しかし、社会保険の滞納が続いていたため、日本年金機構が取引先に機構への直接支払いを求める書面を送り、信用不安が増大。一部の得意先との取引が停止され、事業の継続が困難となった。

 ジーンズの加工技術は高いことから、同社の従業員が奥出雲町で7月に設立した会社が事業を引き継ぐことに関係者が合意。独立行政法人の中小企業基盤整備機構や地元の金融機関などの出資で設立された投資事業有限責任組合が支援する計画となっている。(東京商工リサーチ)

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【会社概要】仁多産業(8月上旬現在)

 ▽本社=島根県奥出雲町

 ▽設立=1981年11月

 ▽資本金=1000万円

 ▽従業員=33人

 ▽事業内容=ジーンズの加工

 ▽負債総額=約9億8100万円

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 〈チェックポイント〉

 ジーンズに古着の味わいを持たせるストーンウオッシュ加工で高い技術を持ち、国内外の大手ジーンズメーカーからの評価も高かった。安定的な収益基盤を得たことを背景に事業を拡大。海外に進出して合弁工場を稼働させるとともに、自社ブランドも立ち上げるなど積極的な経営スタンスを取り続けた。

 しかし、価格の安さを特徴とするファストファッションが台頭するにつれ、相対的に高めの商品を展開するジーンズメーカーが苦戦。これに連動して売り上げが減少傾向に転じてしまった。技術を極める一方で、多方面での市場開拓を図るなどリスクを分散する営業戦略が手薄になってはいなかったか。(東京商工リサーチ取締役情報本部長 友田信男)

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