大胆な「設計構想」を取り入れたテスラ・モーターズの「モデルS」【拡大】
しかし、今回は全て自社開発のため、ボディー、パワートレインなどを開発することになった。そのために、従来のクルマ作りでは考えられない、大胆な設計構想を取り入れている。一つは電池を床一面に敷き詰め、上下をパックすることでボディー剛性と安全性を両立させたこと。さらに搭載電池も60キロワット時と85キロワット時の2種類準備し、走行距離も85キロワット時で500キロ以上を確保している。インテリアにおいては、業界初となる17インチディスプレーを車載情報機器として車両中心部に搭載するなど、革新的な構造を採用している。
通常であれば、過去のプラットホームや部品を共用しようとすればするほど、上記のアイデアは出なくなる。設計構想の初期段階から、どこまで未来を描くことができるか、その想像力が良かったのではないだろうか。また、CEOであるイーロン・マスク氏に代表されるように、その構想力の実行を許容する企業の懐の深さも必要となる。
◆「掟やぶり」の建築家
このような前提条件を無視して考えることは、クルマ以外でもあるようだ。
中国中央電視台(CCTV)など革新的な建築で知られ、建築のノーベル賞といわれる米プリツカー賞も受賞している著名な建築家、レム・コールハース氏は、「掟(おきて)やぶり」の建築家として知られている。つまり、コンペで出された設計条件をすっかり変えて、別の前提を提案する。