しかし、普及のハードルとなる設置コストの高さを解消する道筋はまだ見えていない。JXによると、一般的に1億円かかるガソリンスタンドの5倍弱の4億6000万円もかかるという。このため、16年度以降についてJXは「FCVの普及状況などを見ながら考える」(内島一郎副社長)と慎重だ。
FCVは約5キロの水素を充填(じゅうてん)すれば満タンとなる。水素の販売価格を岩谷は1キロ当たり1100円にすると決めた。政府は20年にハイブリッド車並みの燃料価格にまで引き下げる目標を掲げるが、これを約5年前倒しで実現する思い切った価格設定だ。上羽尚登副社長は「採算面で当初は厳しいが、FCVの普及には最初から安めの価格にすべきだと判断した」と語る。
JXは、15年にガソリン車の燃料価格並みとする政府目標に沿って、水素の販売価格を設定する方向だが「もうかるレベルのはるか以前からのスタートになる」(内島副社長)といい、当面は赤字覚悟で普及に取り組むことになりそうだ。