12年末の円安転換以降、自動車輸出は停滞したままで、少なくとも来年度も成長の期待は持てない情勢だ。
12年までの円高局面での構造改革で海外工場拡張、生産移管を進めたことは事実だ。ただ、より深刻なのは、海外市場の伸び悩みに加え、日本ブランドの市場シェアダウンが負の相乗効果を生んでいるとみられる。国内自動車産業は、世界で成長できる競争力の再構築には至っていない厳しい見方もできよう。
世界の競合メーカーと比較すると、競争力と収益力との乖離(かいり)が著しい。この状況を放置するのは危険だ。お手軽な製品が円安効果で収益性を高めても、持続させることは容易ではないだろう。トヨタ自動車は連結人員33万人のうち、20万人以上を国内で雇用する巨大な内需型企業体である。「トヨタ栄えて国滅ぶ」を最も望まないのはトヨタ自身ではないか。
世界で競争力を挽回できる魅力的な製品、新技術の導入を急がねばならない。その意味で、消費税再増税が17年に先送りされたことは、国際競争力を再構築する最後の時間的猶予といえる。
「米百俵の精神」とは小泉改革の中で明日の改善へ向けた今日の構造改革の重要性を問うた言葉だ。過去最高益企業の賞賛に溺れず、自動車会社は真摯(しんし)に将来に向けた構造改革に取り組むべきだ。(自動車アナリスト 中西孝樹)