原油価格の推移【拡大】
石油輸出国機構(OPEC)が27日の総会で、減産を見送った。原油価格は前回6月の総会から3割以上も値下がりしているにも関わらず、減産に向け加盟国は結束できなかった。昭和40年代には強力な価格支配力で「オイルショック」を演出したOPEC。だが、非加盟国である米国のシェールオイル増産もあり、価格調整役としての機能に衰えがみえている。
「偉大な決定だ」。ロイター通信によれば、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は27日の総会後に記者団にこう語り、減産見送りを評価してみせた。
しかし、加盟国は決して一枚岩ではない。ベネズエラなどは財政を黒字にする原油価格が1バレル=100ドルを超えるとみられている。このため原油安で国内経済が疲弊する「逆オイルショック」に直面。財政的に余裕のあるサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)などと減産をめぐって激しく意見が対立した。
財政力の差が加盟国の足並みを乱し、OPECを主導するサウジは不信感を強めている。かつて減産を決定しても、輸出収入の確保を狙ったベネズエラなどが“抜け駆け”して合意を守らなかったからだ。
一方、米国産の原油がシェールオイル増産で世界の原油消費量の約1割を占めるなど非加盟国の存在感が高まり、OPECの減産効果そのものを疑問視する声もある。
民間調査会社の伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリーの伊藤敏憲アナリストは「減産で合意できたとしても、原油価格の下落は避けられなかった」と指摘する。供給過剰の現状ではOPECが仮に減産しても、その穴を米国などの非加盟国が埋めてしまうからだ。
OPEC加盟国だけでは価格調整が難しいと判断し、サウジとベネズエラは非加盟国のロシアやメキシコと総会前の25日にウィーンで協議した。しかし、減産に向けた協調で一致できなかった。
今後のOPECの対応については、「多くの加盟国が財政的に苦しくなる1バレル=60ドル程度まで原油価格が下がれば、減産を迫られる可能性がある」(石油元売り大手)との見方もある。OPECの価格調整機能の“陰り”は、原油相場が不安定になるリスクをはらんでいる。