ブッオン、ブッオン、ブッオン。スーパーカーの排気音がこだまする。2億円を超えるといわれるブガッティがずらり。タクシーはランボルギーニ、フェラーリ、ロールスロイス…。
「ドバイ・モーターフェスティバル2014」が18日間にわたって6日まで開催された。「車への情熱」をテーマにドバイ政府観光・商務局が主催。今年で2回目だ。オープニングイベントのインフィニティによるデモ走行を皮切りに、グランド・パレードでは個人所有のスーパーカー、クラシックカーなど、オーナーズクラブごとに約600台が集結。アラブ人だけでなく外国人や家族連れもパレードに参加して楽しんでいた。
2億円を超えるといわれるブガッティをはじめとする、最高級車がずらりと並ぶ様子は圧巻の一言だ。期間中にUAEの建国記念日(12月2日)があり、赤、緑、白、黒の国旗カラーを施した車も多い。集まった観衆が素手でベタベタと車に触り、寄りかかって記念写真を撮る行為にも、オーナーは全く気にしていない。桁違いのセレブ生活がなせる心の余裕だろう。
INFINITIブランドで海外展開する日産ブースで行われた、ライトアーティストによるアートワークも人気を集めていた。夜の会場を走るインフィニティに光の軌跡が描かれる幻想的な光景は、会場を行き交う人々の興味を大いに引きつけていた。
開催中の各週末にはランボルギーニ、フェラーリ、ロールスロイスといったスーパーカーがタクシーとなり、ホテルやショッピングモールに配置され、無料で乗車できるという王族気分を味わえる体験型のサービスは外国メディアも注目。ドバイ政府観光・商務局のPRオフィサー、カリッド・アル・ナジャド氏は「旅行客にもドバイならではの世界で唯一の体験を楽しんでいただきたい」。これも何かと世界一を好むドバイのお・も・て・な・し、なのだろう。
ドバイの高級車保有率は群を抜く。世襲制であるため、一族の面子を保つステータスシンボルとして極めて重大な意味を持つという…いや、それだけではない気がする。
さかのぼれば、遠い昔から砂漠の旅を続けて来たアラブの民にとって、移動することが生きるすべ。重要な移動手段がラクダであり正に生命線だった。移動手段を重んじる彼らの嗜好がラクダから最高級車に変わっただけなのだ。ランボルギーニやマクラーレンをパトカーに採用するこの国の車への情熱は、そんなことを想像させてくれた。(トラベルライター 鈴木博美)
取材協力:ドバイ政府観光・商務局